2009年7月12日日曜日

Nr.54 「ある日、深く澄み渡った Un dì all'azzurro spazio」(歌劇『アンドレア・シェニエ』第1幕から)


●解説●
夜会で、詩を詠むことを断ってマッダレーナに揶揄された詩人シェニエが、傷つけられた感情を即興詩に託して歌う。

●難易度●



ウン ディ アッラツーロ スパツィオ
グアルダイ プロフォンド
エ アイ プラーティ コルミ ディ ヴィオレ
ピオヴェーヴァ ローロ イル ソーレ
エ フォルゴラーヴァ ドーロ イル モンド
パレア ラ テッラ ウン インマーネ テソル
エ ア レイ セルヴィーヴァ ディ スクリンニョ イル フィルマメント
ス ダッラ テッラ ア ラ ミア フロンテ
ヴェニヴァ ウーナ カレッツァ ヴィーヴァ ウン バッチョ
グリダイ ヴィント ダモル
ターモ トゥ ケ ミ バーチ
ディヴィナメンテ ベッラ オ パトリア ミア !
エ ヴォッリ ピエン ダモーレ プレガル !
ヴァルカイ ドゥーナ キエサ ラ ソッリア
ラ ウン プレーテ ネ レ ニッキエ
デイ サンティ エ デッラ ヴェルギーネ
アックムラーヴァ ドニ
エ アル ソルド オレッキオ
ウン トレムロ ヴェッリアルド
インヴァン キエデーヴァ パーネ
エ インヴァーノ ステンデア ラ マーノ !
ヴァルカイ デッリ アビトゥーリ ルショ
ウン ウオム ヴィ カルンニアーヴァ
ベステンミアンド イル スオーロ
ケ レラリオ ア ペーナ ザツィア
エ コントロ ア ディオ スカッリアーヴァ
エ コントロ アッリ ウオーミニ
レ ラグリメ デイ フィッリ
イン コタンタ ミセリア
ラ パトリツィア プローレ ケ ファ ?
ソル ロッキオ ヴォストロ
エスプリメ ウマナメンテ クイ
ウン グアルド ディ ピエタ
オンディオ グアルダート オ ア ヴォイ
スィ コーメ ア ウン アンジェロ
エ ディッスィ
エッコ ラ ベッレッツァ デッラ ヴィータ !
マ ポイ ア レ ヴォストレ パローレ
ウン ノヴェッロ ドロール マ コルト
イン ピエノ ペット
オ ジョヴィネッタ ベッラ
ドゥン ポエタ ノン ディスプレッツァーテ イル デット
ウディテ ! ノン コノシェーテ アモル
アモル ディヴィノ ドーノ ノン ロ シェルニル
デル モンド アニマ エ ヴィータ エ ラモル !

●日本語訳●
ある日、深く澄み渡った青い空間に
私は見とれていました。
スミレの薫る牧場の頂きに
太陽は黄金の雨を降らし、
世界がすべて黄金に輝いているのを。
言うなれば、大地は巨大な宝であり、
大空はそれを収める宝庫であるかと思えたのです。
その大地から私の額に
一つの愛らしい生命が、口づけが訪れていました。
私は愛の勝利に叫びました。
「君を愛する。私に口づけを与える君は
神のように美しい、私の祖国だ!」と。
そこで私は、愛に満ちて祈りを
捧げようとしました。
こうして私は、ある教会の敷居を跨ぎました。
一人の僧侶が
そこの、聖女を祀った一隅で
供物を蓄えていました。
なのに、みすぼらしい一人の老人が
震えながら、パンを求めて、空しく
手を差し出しているのには
耳を貸そうとしませんでした。
私は、貧しいあばら家の敷居をいくつか跨ぎました。
そこで、一人の男は神を罵り、
身を粉にしても、国の懐が食い潰してしまう
彼らの土地を誹謗し、
そして、神に向かって、人々に向かって
主のみ子たちの涙を投げつけていました。
このような惨めな姿の中で
貴族たちは、いったい、何をしているのでしょうか?
ここにいる人の中でも
あなたの目にだけは人間的なもの、
憐れみの眼差しが表われているかのように、
そして、私には、あなたが今、
一人の天使であるかのように思えたのです。
そこで私は申し上げました、
ここに人生の美しさがあると!
でも、ここで、あなたのお言葉によって
ある新しい苦しみが
私の胸をいっぱいに捉えました。
ああ、美しいお嬢さん、
一人の詩人が申し上げることを軽蔑なさらないで下さい。
お聞き下さい。あなたは、愛をご存じない。
愛とは神様がお与え下さるもので、軽蔑してはいけません。愛こそこの世の魂であり、生命なのです!

●ヒアリングに使用したCD●
歌劇『アンドレア・シェニエ』全曲(パタネ指揮/ハンガリー国立交響楽団)




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