2009年9月27日日曜日

Nr.64 「武器のありかをお教えしましょう Eine Waffe laß mich dir weisen 」(楽劇『ワルキューレ』第1幕から)

●解説●
ジークムントにノートゥングを与えるため、ノートゥングがフンディングの屋敷の中に生い茂っているトネリコに突き立てられるに至った経緯をジークリンデが話して聞かせる。

●難易度●

             Ω歌手の聴き比べは、こちら。

アイネ ヴァッフェ ラス ミヒ ディーア ヴァイゼン
オ ヴェン ドゥ ズィー ゲヴェンスト
デン ヘーアシュテン ヘルデン
ドュルフト イヒ ディヒ ハイセン
デム シュテークシュテン アライン ヴァルト ズィー ベシュティムト
オ メルケ ヴォール
ヴァス イヒ ディーア メルデ

デア メンナー ズィッペ ザス ヒーア イム ザール
フォン フンディング ツーア ホホツァイト ゲラーデン
エーア フライテ アイン ヴァイプ
ダス ウンゲフラークト シェッヒャー イーム シェンクテン
ツーア フラオ
トラオリヒ ザッス イヒ
ヴェーレント ズィー トランケン
アイン フレンダー トラート ダー ヘライン
アイン グライス イン ブラオエム ゲヴァント
ティーフ ヒング イーム デア フート
デア デックト イーム デア アオゲン アイネス
ドホ デス アンドレン シュトラール
アングスト シュフ エス アレン
トラーフ ディー メンナー ザイン メヒティゲス ドロイン
ミーア アライン ヴェックト ダス アオゲ
ズュース ゼーネンデン ハルム
トレーネン ウント トロスト ツグライヒ

アオフ ミヒ ブリックト エーア
ウント ブリッツテ アオフ イエーネ
アルス アイン シュヴェーアト イン ヘンデン エーア シュヴァング
ダス シュティース エーア ヌーン イン デア エッシェ シュタム
ビス ツム ヘフト ハフテット エス ドリン
デム ゾルテ デア シュタール ゲツィーメン
デア アオス デム シュタム エス ツェーク
デア メンナー アレ
ゾー キューン ズィー ズィヒ ミューテン
ディー ヴェア ズィヒ カイナー ゲヴァン
ゲステ カーメン ウント ゲステ ギンゲン
ディー シュテルクシュテン ツォーゲン アム シュタール
カイネン ツォル エントヴィッヒ エーア デム シュタム
ドルト ハフテット シュヴァイゲント ダス シュヴェーアト

ダー ヴスト イヒ ヴェーア デア ヴァール
デア ミヒ グラームフォレ ゲグリュースト
イヒ ヴァイス アオホ
ヴェム アライン イム シュタム ダス シュヴェーアト
エーア ベシュティムト
オ フェンド イヒ イーン ヒーア ウント ホイト
デン フロイント
ケム エーア アオス フレムデン
ツーア エルムシュテン フラオ

ヴァス イエ イヒ ゲリッテン イン グリッムゲム ライト
ヴァス イエ ミヒ ゲシュメルツト
イン シャンデ ウント シュマッハ
ズューセステ ラッヒェ ズューンテ ダン アレス
エアヤクト ヘット イヒ ヴァス イエ イヒ フェアロール
ヴァス イエ イヒ ベヴェイント ヴェール ミーア ゲヴォンネン
フェンド イヒ デン ハイリゲン フロイント
ウムフィング デン ヘルデン マイン アルム

●日本語訳●
武器のありかをお教えしましょう。
あなたがそれを手にすることができたら、
それこそ、最高の勇士と
お呼びしてもよいでしょう。
なぜなら、それは、だれよりも強い人だけしか、
手に取れない定めになっているのですから。
さあ、私が話すことを、よくお聞き下さい!

一門の男たちが
フンディングの婚礼に招かれて、
この広間に居並んでいたときのことです。
彼が妻にした女は、
山賊仲間が有無を言わさず
彼に贈った女でした。
その女、つまり私は、彼らが酒を飲んでいる間、
悲しい思いで座っていました。
すると、見知らぬ、よその人が入ってきました。
灰色の服を着た老人で、
帽子を目深に被り、
片目を隠していました。
しかし、帽子から見えている目の光り方が
一同の人々に不安の思いをつのらせました。
居並ぶ男たちを射すくめるような眼光でしたが、
私だけは、その目から甘い憧れの悲しみを、
そして同時に、涙と慰めを感じたのでした。

老人はちらりと私を見てから、
一同の者をにらみつけ、
両手に剣を振りかざし、
それを、あのトネリコの幹へ、深く突き立てたのです、柄までも通れとばかり。
だれでも、幹から引き抜く者があれば、
その剣を与えるということだったので、
場にいる男たちが一人残らず限りを尽しましたが、
だれ一人、手に入れることができなかったのです。
その後も、ここに出入りした客人で、
腕に覚えのある人々が、
手をかけては引き抜こうとしましたが、
剣は、食い込んだ幹からびくとも動かず、
あの通り、黙して、突き立ったままです。

やがて私はわかってきました、
あのとき、深い悲しみに落ち込んでいた自分を訪ねてくれたのが誰だったのかが。
しかも今、わかったのです、
その人が、あの剣をいったい誰に与えるつもりで
幹に突き立てたかということも。
ああ、ここで今日、見つけられたら、
その友を。
よその土地から来てくれたら、
最もかわいそうな女のために。

かつて大きな苦しみの中で耐えてきたもの、
苦しんできたものすべてを、
恥辱と屈辱の中で、
復讐が償ってくれるでしょう!
私は取り戻すでしょう、かつて失ったすべてを、
かつて涙して嘆いたすべてを。
聖なる友を見つけて、
その勇士を腕に抱くことができたら!

●ヒアリングに使用したCD●
楽劇『ワルキューレ』全曲(カール・ベーム指揮/バイロイト祝祭管弦楽団)
                     Ψ このオペラの全曲動画は、こちら

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